アメリカでカウンセリングといえば、ごく日常のこと。
こちらでは、カウンセリングが一つの職業として確立されているので、
それに従事する人は、その領域の勉強を専門的にすることが義務付けられていますし、
だからこそ、友人や上司に相談するのではなく、
専門家に行く甲斐があるのだと思います。
そのカウンセリングの種類は、
夫婦間に起こる問題から、成人が誰でも直面する人生に関すること、
親子間で起こる摩擦やコミュニケーションの問題、
またはハンディキャップを抱える子供を持つ親や、
看病に付き添う家族の精神的なサポートなど、多岐に渡ります。
アメリカにおける心理の領域は、
“Baby Science”(発展途上とでもいえるのでしょうか?)と呼ばれるくらい、
まだまだ科学というには遠い感じですが、
今活発に研究が行われている分野が神経心理学で、
とりわけ脳科学と心理療法を連携させてより包括的な治療に取り組む動きが見られます。
私がこれまで見てきたクライアントは、非行少年少女とその家族がほとんどですが、
問題の種類自体はさておき(心理療法では一番肝心なことですが)、
その根本にあるテーマとして子供に対する愛情の表現方法が挙げられます。
たとえば、子供の話に関心を持ちよい聞き手となれているか、
彼らの目線に立って接してあげられているかが肝心になってきます。
精神医学の理論で愛着理論があります。
この理論では、親の子供への接し方が、
その子供の将来的な他人とのつながりのパターンに大きく影響することを説いています。
私が出会った子供たちの多くは、
幼少時に親の離婚、虐待、養子に出され心のよりどころを失ったりと、
子供の限られた知識では理解できない心の傷を負っていたように思います。
先日、日本のニュースを見ていた際に児童虐待の話題が取り上げられていました。
日本でもここ最近、
このような話題やビジネス界におけるパワーハラスメント問題など、よく耳にしますが、
精神面での健康は、身体的な健康と同様に大切で、
一人ひとりが自分という人間に満足し快適に生活するためには不可欠なことです。
人間が体調を崩してしまうように、精神面でも気分が落ち込み自信がなくなることや、
いつもの悶々とした気分になってしまうといったことは、誰にでも起こりうることです。
そういったときは、一人で抱え込まず、心の専門家に相談してみてください。
話を聞いてもらえたということだけで心にズシッと重くのっていたものが取り除かれて
スッとした気持ちになれるかもしれませんし、
悶々と考えてしまう思考からどのように抜け出せるか、
そのノウハウを習得するのもよいと思います。
次回はそのノウハウのひとつであるマインドフルネスについて触れてみます。