前回の号で、マインドフルネス(気付き)とアメリカのカウンセリング事情について少し触れました。
今回ご紹介するセラピーモデルであるアクセプタンス&コミットメントセラピーは、
気付きの部分を大いに必要とする心理療法で、
大きく分けて6つのコア・プロセスをカウンセリングセッションで習得します。
まず、アクセプタンスとは、
「受け入れ」や「認める」という意味ですが、
受動的というよりも能動的な意味合いがあるかと思います。
例えば、社会不安障害で、
人前に出て感じるぎこちない感覚であったり、手に汗をかいてしまうといった場合、
その状況を自分で否定的に解釈するのではなく、
“あるがまま”を受け入れるということを学びます。
コミットメントとは、
深い関与や献身と訳すことができますが、
ここで使われるコミットメントとは、
自分のゴールや価値観に対して、どこまで忠実に実行できているかということを考えてみます。
例として、
自分の価値観が家族との時間の場合、
いかに家族と過ごすための具体的な行動をとっているかを見てみます。
6つのコア・プロセスの一つ目が、
“現在”または“この瞬間”との接触になります。
遺伝の場合を除き、
鬱症状の多くは過去に起こった事柄への執着が原因になるのに対し、
不安症にはまだ起こっていないことや必要以上に将来の事柄を考えてしまう場合が多くあります。
いずれも精神の不安定さを生み出す原因となり、
このコア・プロセスでは、意識を“今”にもっていくことの重要性を説いています。
その手段として使われるのが、瞑想、呼吸法、マインドフルネス(気付き)などになります。
二つ目のコア・プロセスは、
“価値”になります。
自分が価値あるものとすることや自分の思い描く人生を少し考えてみてください。
もし実現できていないことがあるとすると、
そこにはばかっているものはなになのかを自分の価値と照らし合わせてみていきます。
ここでは、ゴールと価値の違いを明確にします。
ゴールとは物事の結果を指しますが、
価値はその結果がでるまでの取り組み方や姿勢を指します。
3つ目のコア・プロセスは、
第2のプロセスで見出した“価値”に沿って、
ゴール実現のためのアクションが取れているかを見ていきます。
そのためには、セラピストの力を借り、より客観的な目を養い、
アクションプランを立てることが必要になる場合もありますし、
第2コア・プロセスで述べたゴール実現の前にはばかる課題が
なにかを自分自身認めることも大切です。
例えば、失敗することへの恐怖や過去の辛い記憶が行き詰まりの原因にもなりうるのです。